何気なく Ubiquiti のネットワーク機器が気になって色々調べていたところ,Dream Machine のハードウェア構成が興味深かったので紹介したいと思います.
スペック比較
Dream Machine と次の2つを比較してみました.
- ASUS のゲーミング WiFi ルータ
- YAMAHA の業務用ルータと無線LANアクセスポイント
結果は次の通り.
メーカ | Ubituiqiti | ASUS | YAMAHA | YAMAHA |
型式 | Dream Machine | RT-AX86U | RTX830 | WLX402 |
発売日 | 19年11月 | 20年9月 | 17年10月 | 16年11月 |
実勢価格 (’20年10月時点) |
\36,700 | \29,473 | \45,080 | \82,770 |
CPU | ARM Cortex-A57 Quad 1.7GHz |
B53 Quad 1.8GHz |
ARM Dual 1.3GHz |
ARM Dual 1.4GHz |
RAM | DDR4-2400 32bit 2GB |
DDR3-1600 32bit 1GB |
0.2GB | 0.5GB |
ROM | 16GB | 256MB | 32MB | 544MB |
比較対象はスペックの引く物を選んだわけではなく,むしろ普通の人が購入するにはスペックが高い物を選択していますが,それらと比べても RAM と ROM で他を圧倒しており,一人だけ別の製品セグメントにいるかのようです.
おそらく,ルータや無線LANアクセスポイントの機能自体を実現するのには YAMAHA 相当あれば十分と思われるので,上乗せ分は全て付加価値に振り向けていると思われます.
付加価値の一端は下記を読むとなんとなく伝わってきます.
ハードウェア構成
スペックがここまで特徴的だと具体的なハードウェア構成が気になってきますが,米国連邦通信委員会(FCC)のサイトに分解写真がありました.
https://fccid.io/SWX-UDM/Internal-Photos/Internal-Photos-1-of-2-4075898.pdf [キャッシュ]
なかはこんな感じで,基板は 2枚で構成されています.ちょっとびっくりしたのが,LAN ポートがある左側の黒い物体は空冷ファン.
あの外観でファンが入っているのは想像できませんでしたが,HW スペックを考えると納得です.
上側の基板には,MediaTeK の WiFi チップ2個と CRS の Bluetooth チップが載っています.WiFi チップとアプリケーションプロセッサの IF は PCIe Gen2 で,カードエッジコネクタで接続されています.
無線 LAN アクセスポイントに,スマホアプリのためだけに Bluetooth チップを載せているのが発想の違いを感じさせます.国内メーカの製品にはまず載っていない気がします.
続いて,メイン基板.この手の機器としてはそこそこ,詰まっている印象を受けます.
個人的に一番驚いたのはこちらのメイン CPU.
なんと,Amazon のマークが入っています.開発元の Annapurna Labs は,2015年にアマゾンに買収されたようです.Forbes の記事によると AWS 向けのチップを作っているようです.
ただ,詳しい情報が Web にはほとんど無く,会社のページをみても製品に関する記述は一切ありません.
WikiChip を見ると次のように記載されており,ネットワーク機器においても一定の存在感があるようです.
Alpine is a family of ARM SoCs designed by Annapurna Labs and introduced in 2016 for embedded networking devices. Alpine chips are found in various home gateways, routers, NAS devices, and other network devices.
今回見つかった「Alpine AL-324」 で検索すると,QNAP のハイエンド NAS 等で使われているのが確認できます.こちらを見ると,バッファローの法人向けハイエンド NAS でも 7 機種ほどで使われているようです.っていうか,Annapurna Labs の採用率高い!
謎が多いですが,会社紹介の次の文とか読むと応援したくなっちゃいます.
We are an Amazon company with development centers in the US and Israel. We are focused on high-performance solutions. Our philosophy, DNA, and culture are to empower software engineers to innovate. We do this through primitives-based design, which gives software engineers flexibility to use our hardware in many innovative ways to fit their needs. We provide standards-based solutions to our customers to allow them to easily integrate their products with the latest offerings in hardware, software and the cloud. We continue to invest in IP and process technology to give our customers access to faster and more energy-efficient products.
面白そうなので,今後ちょっとアンテナ張ってみようと思います.
おまけ
Dream Machine は IDS/IPS Throughput 850Mbps で,上位グレードの Pro は 3.5Gbps となっていますが,分解写真を見ると,同じチップが使われているようです.違うのはメモリ容量のみ.(2GB vs 4GB)
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